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りんらくのせいしゅん
淪落の青春
「ろまねすく 第一巻第一号」ろまねすく社、1948(昭和23)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,729 字 · 36 页
先ずカメが留置され、追々様子が分って、正一郎がつかまったが、その時村では正一郎は気が違ったという専らの評判であった。
百方にツテをもとめて検事局にカンベンしてもらったが、許されて村へ戻ったときは昂然たるもので、女房、子供、衣子、トメ、カメ、一同をズラリと茶の間へ並べて
「お前らが注意が足りん、戦争の認識が足りん、重大なる時局を知らん、緊張が足りんから火をつけられる」
「言うたもんだ、東条大将みたいなもんだ。オメサマが火つけたもんだがネ」
「お前らの緊張が足りんから、オレが火をつけて、ためしたのだ。時局の認識を与え、まがり腐った性根ッ骨を叩き直してやるためだ。挙国一致、戦争に心を合わせているとき、警報の下でアカリをつけて寝ているとは、言語道断の奴め。こらしめのため、神の心がオレに乗りうつって火をつける。だから検事局も感動して、どうかお帰り下さい、お呼び出し致して相済まぬことでした、とあやまる」
「言うたもんだ」
「キサマの性根は、まがりくさって治らんから、たった今、ヒマをやる。トメもヒマをやる。これにこりて、警報が鳴ったらアカリを消せ。一億一心ということを考えれ」