轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
りんらくのせいしゅん
淪落の青春
「ろまねすく 第一巻第一号」ろまねすく社、1948(昭和23)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,729 字 · 36 页
「なんのヤミ? 大ヤミ?」
「イヤ、小ヤミだよ。細々と食うだけのことさ。オレには仲間もなければ、然るべきツテもないから、まア、リュックをかついで汽車で往復する、一番しがないヤミ屋だ。この村に間借りをして、そこを本拠にして、東京と往復してもできるじゃないか。戦争に負けると便利なものだ」
「そうね。わりあい便利な世の中だわね。私もタケノコで一人前にやってのけるのだもの。テイチャンが一人前のヤミ屋になったら、東京でくらすといゝわ。私もそのとき東京へ行って、何かするかも知れない」
「何をするんだ」
「まだ、分らないわ。何か、しなければ、ならないでしょう」
衣子の平然たる笑い顔は、まったく腹のわからない妙なものだった。何をやる気だろう。パンパンをやる気かも知れぬ。それぐらいのことは平然と考えかねないところもあるが、また何か、途方もないデッカイ夢をいだいているようなところもあった。
この村へ疎開している三好光平という文士は衣子が好きな様子で、毎日のように遊びに来て、話しこんで行くが、三十六の光平よりも衣子の方が大人に見える。
光平は風景がどうだとか、情趣がどうだとか、伝統がどうだとか、風味とか、風韻というようなことを言う。