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ふかがわにょうぼう
深川女房
小栗 風葉
「新小説」1905(明治38)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,597 字 · 57 页
「ありがとう、私ゃなに、これで存外体は丈夫なんだからね」とまずニッコリしながら、「金さん、今日はお前さんいいとこへおいでだったよ。実はね、明日あたりお前さんの方へ出向こうかと思ってたのだが……それはそれは申し分のない、金さんのお上さんに誂え向きといういい娘が見ッかったんだよ」
「そいつはありがたいね、ははは、金さんに誂え向きの娘なら、飴の中のお多さんじゃねえか」
「あれ、笑談じゃないんだよ。まあ写真を見せるから……」と立ちかける。
「いや、お光さん、写真も写真だが、今日は実は病気見舞いに来たんだから、まずちょいと新さんに会いてえものだが……」と何やら風呂敷包みを出して、「こりゃうまくはなさそうだけれど、消化がいいてえから、病人に上げて見てくんな」
「まあ、何だか知らないが、来るたび頂戴して済まないねえ。じゃ、取り散らかしてあるが二階へ通っておくれか」
「そうしよう」
そこで、お光は風呂敷包みをもって先に立つと、金之助もそれについて二階へ上る。
新造と金之助と一通り挨拶の終るのを待って、お光は例の風呂敷を解いて夫に見せた。桐の張附けの立派な箱に紅白の水引をかけて、表に「越の霙」