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ふかがわにょうぼう
深川女房
小栗 風葉
「新小説」1905(明治38)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,597 字 · 57 页
「新さんの今のとこさ」
「ああ、だけど、それを言ってちゃいつのことだか分らないかも知れないよ」と伏目になって言った。
金之助は深くも気に留めぬ様子で、「こっちだっていつのことだかまだ分らねえんだから……だが、わけのねえことだから、見合いだけちょっとやらかして見ようか?」
「え、見合いを※(感嘆符二つ、1-8-75)」お光はぎょッとしたように面を振り挙げたが、「さあ……ね、だけど、見合いをすりゃ、すぐ何とか後の話をしなけりゃならないからね。見合いをしっ放しにして、いつまでもまた引っ張っとくというわけにも行かないから……まあ何てことなしに延ばしといたらいいじゃないかね」
「そうかい、それじゃまあ、どうなりとお光さんの考え通りに任せるから、よろしく頼むよ」
金之助は急須に湯を注したが、茶はもう出流れているので、手を叩いて女中を呼ぶ。
間もなく、「何か御用ですの?」と不作法に縁側の外から用を聞いて、女中はジロジロお光の姿を見るのであった。
「御用だから呼んだのよ。この急須を空けっちまっての、新しく茶を入れて来な」
「はい」と女中はようよう膝を折って、遠くから片手を伸ばして茶盆ぐるみ引き寄せながら、