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せいしんあん

清心庵

泉 鏡花

「新著月刊」1897(明治30)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,494 字 · 26 页

青空文庫

私あ、だだを捏ねたんだ。

見ても、何でも分ったような、すべて承知をしているような、何でも出来るような、神通でもあるような、尼様だもの。どうにかしてくれないことはなかろうと思って、そのかわり、自分の思ってることは皆打あけて、いって、そうしちゃあ目を瞑って尼様に暴れたんだね。

「そういうわけさ。」

他に理窟もなんにもない。この間も、尼さまン処へ行って、例のをやってる時に、すっと入っておいでなのが、摩耶さんだった。

私は何とも知らなかったけれど、気が着いたら、尼様が、頭を撫でて、

(千坊や、これで可いのじゃ。米も塩も納屋にあるから、出してたべさしてもらわっしゃいよ。私はちょっと町まで托鉢に出懸けます。大人しくして留守をするのじゃぞ。)

とそうおっしゃったきり、お前、草鞋を穿いてお出懸で、戻っておいでのようすもないもの。

摩耶さんは一所に居ておくれだし、私はまた摩耶さんと一所に居りゃ、母様のこと、どうにか堪忍が出来るのだから、もう何もかもうっちゃっちまったんさ。

お前、私にだって、理窟は分りやしない。摩耶さんも一所に居りゃ、何にも食べたくも何ともない、とそうおいいだもの。