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せいぞうとぬま
清造と沼
宮島 資夫
「赤い鳥」赤い鳥社、1928(昭和3)年1月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,864 字 · 12 页
あるとき、清造は、張りそこなったうちわの裏に、あしの枯れた沼のおもてに、大きなあわの浮かんだ絵をかいてみました。それはまったく、子どものかいた無邪気な絵でした。けれどもおやじさんはそれを見ると、
「うまい、感心だ。」といって、よろこびました。そうして、「もう一枚かいてみろ。」と、今度は新しいせんすをくれました。清造はしばらく目をつぶってから、青黒くよどんだ水の上に、大きなあわがふたつぽかりと浮かんだところをかきました。
「おまえはいまにきっと名人になれる。おれが先生に頼んでやる。」
おやじさんは自分の子のことのように喜びました。そうして、おやじさんのひいきになっている、えらい絵の先生のところに清造をつれていきました。その先生は凧屋に凧を張らせて、自分でそれに絵をかいてやるのを楽しみにしている人でした。だから、おやじさんのいうことをすぐに聞いて、自分の弟子にしました。
四
それから十何年かたちました。ある日、清造が石を投げた沼のふちにりっぱな青年が立って、じっと水のおもてをながめていました。青年はやがて石を一つとって投げました。やがて大きなあわがぽかりとひとつ浮かびました。