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こなんのおうぎ

湖南の扇

芥川 竜之介

坐船到长沙,码头上一群中国人像蝗虫一样跳上岸。这个偶然的小事件,竟让人感受到湖南人那股不服输的劲儿。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,079 字 · 19 页

青空文庫

しかし彼はもう一度愛想の好い顔に返ったぎり、少しもこだわらずに返事をした。

「じゃもう一週間前に来りゃ好いのに。あすこに少し空き地が見えるね。――」

それは赤煉瓦の西洋家屋の前、――丁度あの枝のつまった葉柳のある処に当っていた。が、さっきの支那美人はいつかもうそこには見えなくなっていた。

「あすこでこの間五人ばかり一時に首を斬られたんだがね。そら、あの犬の歩いている処で、………」

「そりゃ惜しいことをしたな。」

「斬罪だけは日本じゃ見る訣に行かない。」

譚は大声に笑った後、ちょっと真面目になったと思うと、無造作に話頭を一転した。

「じゃそろそろ出かけようか? 車ももうあすこに待たせてあるんだ。」

* * * * *

僕は翌々十八日の午後、折角の譚の勧めに従い、湘江を隔てた嶽麓へ麓山寺や愛晩亭を見物に出かけた。

僕等を乗せたモオタア・ボオトは在留日本人の「中の島」と呼ぶ三角洲を左にしながら、二時前後の湘江を走って行った。からりと晴れ上った五月の天気は両岸の風景を鮮かにしていた。僕等の右に連った長沙も白壁や瓦屋根の光っているだけにきのうほど憂鬱には見えなかった。