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とろ

瀞

佐藤 垢石

「続たぬき汁」星書房、1946(昭和21)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,908 字 · 30 页

青空文庫

石打、塩沢と次第に中流に及ぶほど鮎の育ちは大きく、川の幅も広くなるのである。このあたり景観も大きい。頭の上に、上越国境を遮る六千五百尺の中ヶ岳が、屏風のように乗りだしていて、それから北方へ八海山、越後駒ヶ岳が雄偉の座を構えて続いている。立秋を迎えれば山頂の気も、山村の気も澄んで、天はますます高いのである。表日本の初秋は天爽やかなりといっても、大空のどこかに靄を含んでいる。しかし、越後の初秋の気には、微塵も塵の澱みを見ぬ。満洲の初秋の気に相通じる。

六日町の地先で三国川を合わせると、俄に良質の岩塊を交え、水は豊富となり、流れ流れて浦佐、小出町に及ぶと、もう大河の相を呈しはじめる。小出町地先で破間川を合わせると、川底の石もさらに大きく瀬の流れも一層速く、鮎は満点の条件をもって育つのだ。

破間川と魚野川の合流点の、秋草に満ちた広い河原から南東を眺めた山々のただずまいはほんとうに美しく荘厳である。八海山と駒ヶ岳に奥会津に近い中ヶ岳が三角の顔をだして、山の涼しさを語っている。銀山平や、六十里越、八十里越あたりの連山に眼を移せば、旅にいて、さらに旅心を唆られるのだ。