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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

しかもこのことは大急ぎでやらなければならなかった。

生憎と宇宙艇はこれまでの難航によって、方々が壊れた。その都度応急処置をとったのであるが、何分にも航行の仕事に手がかかって、空気洩れ防止の方は十分に行われていなかった。デニー博士が、まずこの始末について第一の命令を発したのは正しかった。

全員は各室を駆けまわり、すこし惜しかったけれど、漏洩のある部屋はどんどん捨てて、それより手前の密閉戸を下ろしていった。

その作業は、各員の努力によって、早くも五分後には大体終了した。

「全員、上陸用空気服を点検!」

第二の命令が、デニー博士の口をついて出た。こんどは、各自の上陸用空気服の点検であった。上陸用というのは、火星へ上陸することを意味しているのであって、この艇内から出るには普通のままの服装では出られない。まず酸素不足などを補うために、特別製の圧搾空気をつめた槽から空気を送って呼吸しなければならぬ。それがためには、潜水服に似たものを着、そして潜水兜に似たものを頭に被り、空気槽を背負わなければならなかった。それだけではない。火星の上には、温度の激変が起ると思われているので、それにはこの空気服がスイッチ一つで温められるようになっていなければならない。