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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

と、火星人たちが、手にしていた棍棒みたいなものを一せいに高くさしあげた。

するとふしぎにも、風がぴゅうぴゅう吹きだした。沙漠の砂塵が、舞いあがった。と、宇宙艇を包んでいたエフ瓦斯の幕が吹きとばされて見る見るうちに淡くなっていった。

火星人たちは、どっと笑ったようである。櫓の上に乗っている火星人たちは、さかんに棒をぐるぐる頭の上でふりまわした。風は烈しさを増し、宇宙艇は荒天の中の小星のようにゆさゆさ揺れはじめた。

「これはえらいことになったぞ」

乗組員たちは、転がるまいとして、一所けんめい傍にあるものに取付いた。

「重力装置を働かせよ」

デニー博士が号令をかけた。

ぷうんと呻って、重力装置は働きだした。宇宙艇はぴったりと大地に吸いついた。だからもう微動もしなくなった。

火星人たちの送って来る風が一段と烈しさを加えた。

だが、宇宙艇はびくともしなかった。しかしエフ瓦斯は噴出孔を出るなり吹きとばされて役に立たない。

と、風がぴたりと停った。火星人たちは一せいに棍棒を下ろしたのだ。

やれ助かったかと思う折しも、こんどは大きい青い岩のようなものが、彼らの中からとび出して、宇宙艇の方へどんどん投げつけられ始めた。