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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

車は停った。

ネッドは箱から出て来た。

「ちょっとした工事をするから、手伝ってくれよ」

どこへ工事をするのかと思っていたら、ネッドは車の側に箱を置き、その上にのぼると牛の画の腹の下にハンドボールで穴を円周状にあけた。そのあとで金槌で真中を叩いたから、ぽっかりと窓があいた。

「何をするんだ、ネッド」

河合はおどろいて、尋ねた。

「さあ、こんどは僕の腰掛けを高いところにこしらえるんだ」

ネッドは山木と河合を手伝わせて、箱の後部の上に、猿の腰掛のようなものを横に取付けた。そしてその上へ掛けてみて、

「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい」

と叫んだ。

「何だ、見世物か。ははあ、この穴から中をのぞくんだな」

山木はその穴に目を当ててのぞいたが、ぶるっとふるえて身体を後へ引いた。

「うわっ、たいへんだ。角の生えたへんな動物が、この中に入っている。いつ入ったんだろうか」

「へえ、角の生えた、へんな動物だって……」

河合がびっくりして、山木に替って穴から中をのぞいた。

「なあんだ、張が笑っているだけじゃないか」

「そんなことはないよ」

「さあさあ、この幕を張るから、みんな箱車の屋根へのぼって手伝え」