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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

早合点をする人なら、ははあここに動物園が出来るのかと思ったことであろう。ところが本当はそうでない。その証拠には、檻の傍にかたまっている研究団の人々の傍で話を聞いてみるのが早道である。

「どこまで進行したかね」

「もうあと、檻一つ出来れば、それで完了だ。全部で四十個の檻が揃うわけだ」

「もう一つ残っている檻って、何を入れる檻かね」

「第十九号の檻だ。チンパンジー(類人猿)を入れる檻だ」

「ああ、そうか。おいおい、瓦斯の方は準備は出来ているかあ」

「出来すぎて、皆退屈しているよ、昼から野球試合でも始めようかといっている」

「ふふふ、えらく手まわしがいいね。もちろん瓦斯試験もすんでいるんだろうなあ」

「大丈夫だとも、何なら野球場だけをR瓦斯で包んで、その瓦斯の中で野球をしようかといっている」

「だめだ、R瓦斯を出しちゃ。瓦斯放出は今日の午後三時からということになっているから、厳格に時間を守るように。そうでないと思い懸けない事件が起ると、責任上困るからなあ」

「僕達は全部マスクをつけているからいいではないか」

「ああ、僕達はいいが、村民でまだ引揚げない連中もあるだろう」

「しかし、放送で再三注意しておいたからねえ、“この地区では瓦斯実験を行うので危険につき今日の正午以後翌日の正午まで立入禁止だ”と繰返し注意を与えてある。