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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

そのかわり全体がぎらぎらと眩しく銀色に光を増した。今や自分たちが大宇宙の真只中に在ることが、誰にもはっきり感ぜられた。

エンジンなおらず

そのとき四少年の大好きな青年技師ビル・マートンが廊下をこっちへ急ぎ足で来るのを河合が見つけた。

「マートンさん、エンジンはうまくなおりましたか」

「だめなんだ、河合君」マートンは肩をすくめて見せた。

「エンジンは、まるで馬のようにスピード・アップしている。この調子でゆけば、第一倉庫にある原料が全部使いつくされるまで、エンジンを停めることはむずかしかろうね」

ひどいことだ。どこまでも飛びつづけるしかないのだ。しかも舵がきかなくて、思う方向へも向けられない。つっ走るとはこのことだ。

「すると、今われわれの宇宙艇は、どの方向へ飛んでいるんですか」と河合が尋ねた。

「真東へ飛んでいる。黄道の面と大体一致しているよ。かねてわれわれが計画しておいた方向へは走っているんだがね」

「われわれが準備しておいた方向というと」

「火星に会える方向のことさ。でも三週間ばかり早すぎたよ」と、マートン技師は事もなげにいった。

「ほう、そうですか。この宇宙艇はやっぱり、火星へ行くように準備してあったんですか」