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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

火星の運河というのは、そのことであろうが、果して運河であるか、どうか、それはもっと先にならねば分らない。

「あっ、四象限へ舵一杯!」

突然、老博士が叫んだ。と同時に、操舵席のマートン技師の前に、赤い警告灯がつき、そしてその下を、電光ニュースのように数字の列が流れた。

「はいっ、四象限へ舵一杯」

と、マートン技師は舵をうんと引き、それから、流れる数字に従って舵を合わせた。この数字は安全航跡を示すもので、例のテレビジョンが自動的に測ってしらせて寄越すものであった。

それはよかったが、次の瞬間、艇ははげしく鳴り響き、そして震動した。

「落着いて、マートン。四象限へ舵一杯、もっと一杯」

「はい、もっと一杯、引いていますが、これで一杯です」

「あっ、危い!」

どど……ん。怪音と共に艇はぐらっと傾いた。そして二三度宙に放りあげられた感じであった。と、停電した。室内は応急灯だけとなり、人々の不安にみちた横顔へ深い影を彫りつけた。河合少年も、その中の一人だった。一体どうしたのであろうか。

遂に大混乱

操縦室の一同が、不安の底に放り込まれたとき、天井の高声器から、ひどくあわてた声が響き渡った。