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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
「まさか、ハルクのやつ、この桟橋から、とびこんだんじゃあるまいな」
そういった彼は、もう動くのもいやになるほど、疲れ果てていた。彼はいつの間にか、桟橋のうえに、ごろりとたおれていた。涼しい夜風が快い眠りをさそったのだ。
「おい、おい!」彼は、目がさめた。だれを呼んでいるのであろうと、目をみらいてみると、眩しい懐中電灯が、彼のかおをてらしていた。彼はびっくりして、跳ねおきた。
「だ、誰だ!」
「なんだ、やっぱり竹じゃねえか」
「そういうお前は……」
「誰でもねえや。おれだ。丸本だ!」
「えっ、丸本、なんだ、貴様だったのか。ちえっ、おどかすない」
丸本というのは、竹見と同じく平靖号乗組の水夫で、彼のいい相棒の丸本秀三だった。
丸本は、彼のかたわらにすりよって、
「こら、あんな雑草園のふるまい酒ぐらいに酔いたおれるなんて、だらしがないぞ」
「冗談いうな。おれは酔っちゃいない」
そこで竹見は、手短かに、ハルクのことをはなして、丸本にもハルクを見かけなかったかとたずねたが、丸本もやはり知らないとこたえた。竹見は、いよいよ落胆した。
「おい、ハルクのことをしんぱいするのもいいが、ちと、虎隊長のことも考えてくれ。