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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

妙に船が気になるなんて、どうしたというわけです」

「どうもわからん。こんな妙な気持になったことは、初めてだ」

「ははああ、虎船長のことが、やっぱり心配になるんでしょう」

「いや、船長のことは心配しなくともいいんだが、船のことが、いやに気になってねえ。ともかくも、早くランチをやれ」

「へえ、合点です。おい、竹見、考えこんでないで、手つだえよ」

「なんだ竹もいるのかね」

「へい、一等運転士。そういえば、わしもなんだか船のことが気がかりなので……」

「よせやい、竹。お前の心配しているのは、ハルクのことじゃないか。いやに調子を合せるない」

「うん、ところが、おれも急に今、船のことが気がかりになってきたんだ。どうもへんだねえ」

「ふん、何をいい出すか……」

そこでランチは、沖合に信号灯の見えている平靖号さして、波をけ立てて進んでいった。

血染の手紙

ランチは、平靖号の舷側についた。

「いやに静かだねえ」

「そうでしょうとも。虎船長のほかに、だれもいないんですよ」

「まさかネ」

三人は、するすると縄梯のぼって、甲板へ――。

「隊長! 虎隊長!」

一等運転士は、気になるものと見え、虎隊長のところへ、とんでいった。