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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

「あっ、それはハルクの持っていた水兵ナイフだ!」

「えっ?」

ハルクの持っていた水兵ナイフが、なぜこんなところにあるのだろうか。そのナイフこそは、ハルクが自ら右脚をきりおとしたナイフだった。

「おい、なにか手紙みたいなものが、えにまいてあったぞ」

「手紙?」

一等運転士の手には、手帳の一頁をひき裂いたものが、にぎられていたが、それも血にそまっていた。

「なに、ほう、これは竹見、お前あての手紙だ」

「なんですって、何と書いてあるんですか」

竹見には、英語がよくよめない。手紙は、英文だった。

「こういうんだ“親愛ナル竹ヨ。俺ハ復讐ヲスルンダ。コノ手紙ヲ見タラ、オ前ノ船ハスグニ抜錨シテ、港外へ出ロ。ハルク”どういう意味だろうか、この手紙は」

「えっ、復讐! 復讐は、わかるが、お前の船は、すぐにいかりをあげて、港外にでろというのがわからない」

「ふむ、お前に喧嘩を売るんだったら、親愛なる竹よは、へんだね」

「あっ、そうだ!」

と、竹見は、とつぜん弾かれたように、とびあがった。

「一等運転士、すぐに抜錨を命じてください。でないと、この船は沈没しますぞ」

「なぜだ、とつぜん何をいう。