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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
「うぬ、船長の命令を聞かないで、わが隊のとうせいをみだすやつは、もうゆるしておけない。かえってきたら、おしいやつだが、ぶったぎってしまう」
虎船長はついに激怒してしまった。
その当人、竹見太郎八は、悠々とノーマ号の甲板をぶらぶらと歩いている。事務長が、ノーマ号の高級船員を相手に、強硬に主張をつっぱっているには、一向おかまいなしで、むこうの水夫をつかまえて、手真似ではなしをしている。
「どうだい。これは胡瓜の缶詰だ。ほら、ここに胡瓜のえが描いてあるだろう。欲しけりゃ、お前たちに呉れてやらねえこともないぜ、あははは」
集ってきたノーマ号の水夫たちは、竹見の顔色をうかがいながら、ごくりと咽喉をならした。
「われわれは、その缶詰が欲しい。そのかわり、汝はなにをほっするか」
と、むこうも手真似だ。
「そうだねえ――」
と、竹見はいって、ポケットから煙草を一本だして口にくわえ、ぱっと燐寸をつけた。
すると、ノーマ号の船員たちは、一せいに呀っとさけんで、真青になった。
なぜ彼等は、青くなったのであろうか。
煙草をなぜ嫌う?
ノーマ号の船員の一人が、水夫竹見のそばへとびこんできたと思うと、いきなり手をのばして、竹見の口から、火のついた煙草をもぎとった。