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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
「売ったなどと、人聞きのわるいことをいうな。これもお前のためだ。わしは飯も酒も……」
「いうな、うら切りお爺め! お前なんぞにふんづかまってたまるかい」
といってはねのけようとする。そのときばたばたとかけてきたのは、待機中の事務長をはじめ派遣隊の連中だった。この連中にそうがかりになっては、大力の竹見といえどもどうにもならない。
「おーい、ハルク、だまってみていないで、おれをたすけてくれ。おれが捕って本船へつれもどられると、死刑になっちまうんだ」
それを聞くと、ハルクはウィンチの下からのっそり前に出てきた。彼は、太い筋の入った両腕を、ゆみのようにはって、竹見の加勢をすると見せた。
「よせよせ、ハルク」
他の船員たちが忠告した。しかしハルクは缶詰をもらったおれいの分だけ、力を出すつもりであった。
平靖号の船員対ハルクの乱闘のまくは、今にもノーマ号の甲板の上に切っておとされそうになった。
そのとき竹見は、ハルクの後へ退っていたが、睨み合いの相手丸本をいつになくきたない言葉でののしり、
「やい、うら切り者よ。これが受けられるなら受けてみろ」
というなり、竹見の掌からぴゅーんといきおいよく、一挺のナイフが丸本の方へとんでいった。