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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

「よし、わかった。では、謎の人物ポーニンに相違ないものとして、話をすすめよう」

と、長官アンドレ大佐は、大きく肯いて、

「そこでじゃ。ポーニンが、しきりにセメントを買いあつめているというが、それは本当か」

「本当ですとも。まだ口約束だけのことですが、私の部下のしらべてきたところによると、こんなに有ります。このとおり、全部あつめるとたいへんな量です」

警部モロは、鞄の中から、いろいろな形の紙を重ねあわせた書類束をとりだした。

「ええと、これが五百袋。こっちの商会が、千二百袋。またこっちは、三百袋。……」

「合計して、どのくらいになるのか」

「ざっと勘定しまして、九百トンです」

「ふーン、九百トンのセメントか。相当の分量だ。そんなセメントを買いこんで、どうする気かな」

「当人は、今にセメントが値上りするから、買いしめておくのだ、といっているそうです」

「すると、値上がりのところで、売ってもうけるつもりなんだな。すると、単に、目さきの敏い商人でしかないではないか」

長官アンドレ大佐は、そういって、卓子にあつまっている首脳部の人たちのかおを、ずーと見まわした。

「それは、どうもおかしいですな」