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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
入口をはいったところには、高級船員らしい七八人の男がきちんと整列していて、隊長岸少尉のかおを見ると、一せいに挙手の礼を行った。
室の真中に、一つの大きな卓子がある。その前に、一人の肥満した人物が、ふかい椅子に腰をかけている。
「さあ、どうぞこちらへ」
と、その肥満漢は手をのばして、隊長に上席をすすめた。混じり気のない立派な日本語であった。どうやらこれが船長らしい。だが船長にしろ、椅子にこしをかけたまま、帝国軍人に呼びかけるとは無礼至極であるとおもっていると、かの肥満漢は、
「私は脚が不自由なものでしてナ、お迎えにも出られませんで、御無礼をしておりますじゃ。この汽船の船長天虎来こと淡島虎造でござんす」
と、ていねいに挨拶をしてあたまを下げた。
脚が不自由だという。見れば、なるほどこの虎船長の両脚は、太腿のところからぷつりと両断されて無い。
このように脚が不自由だから、岸隊長を公室までまねいたことが一応合点がいった。しかしいくら脚が不自由でも、この船長だって出てこられないはずはないのだがと、岸隊長はどこまでも、こまかいところへ気を配りつつ訊問にかかった。