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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

よいかな、虎船長とやら」

よいもわるいもない。虎船長は、フラン紙幣をうけとって、その代り、船長の服と帽子とを、ロロー氏に手わたした。

「たしかに、引きうけました」

と、ロロー氏は、にこにこがおでいって、虎船長の手をにぎった。ロロー氏というのは、外でもない。警部モロの変名だった。

新船長

「ええ、船主のフランスさま。この船が、つんでいる雑貨は、どのくらいの利益で、売りはらえばいいですかなあ」

警部モロは、虎船長がまだ、しょうちしたともいわないさきから、もう船長気取りで、船主となったポーニンに、相談をかけた。

虎船長も、さすがに、ゆがんだかおで、この場の成行をじっと見おくっているばかりであった。だから、若い船員たちは、或る者は、紙のように白い顔となり、また或る者は朱盆のように、真赤な顔になっていた。一等運転士が、それをしきりに、止めている。

フランス氏を名乗るポーニンは、にやりにやりと、あたりをながめまわし、

「いや、本船の積荷を売りはらうことは、いずれゆっくり、かんがえることにして、まず大いそぎで、この積荷を下ろしてもらいましょう」

「へえ、すぐというと、今夜にもといういみですか」