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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
彼が、ノルマンの間をすりぬけて、後へとびこもうとすると、奇怪にも、ノルマンは竹見の肩を力まかせに、どんとつきとばした。
「あっ、……」
竹見は、不意を食って、その場によろよろ、しりもちをついた。
「船長、な、なにをするッ」
竹見は、あわててとび起きると、すさまじい形相で、みがまえた。
「さわぐな。お前には関係のないことだ。むこうへいけ――」
「いやだ、仲間のくるしんでいるのを知って、放っておけるものですか」
「なに、反抗するか。竹、船長の命令だ。おもてへいって、お前は仕事をつづけろ」
「いくら命令でも……」
「うるさい野郎だ。じゃあ、早いところ、はなしをつけるぞ。これでも、おれの命令にしたがわぬというか」
船長ノルマンの手には、きらりとピストルが光った。
「やっ」竹見は、いきを、はっととめた。「それほど――いや、向うへいきますよ」
手元へ飛びこんで組打とも考えたが、船長と格闘することよりも、自分に親切にしてくれたハルクの安否をはやく見てやりたいとおもったので、歯をくいしばって我慢した。そして倉庫の出口へ出ていった。
船長ノルマンは、ぴゅーと、唾をはくと、やはりハルクのことが気になると見え、彼の様子をのぞきにいった。