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はいいろのあねとももいろのいもうと

灰色の姉と桃色の妹

小川 未明

「愛国婦人 470号」1921(大正10)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,817 字 · 8 页

青空文庫

姉は、ずっと脊が高かった。そして、黒い髪が、長く肩頭から垂れていました。彼女は、指先でその髪をいじっていました。その黒い髪は、つやつやしなかったけれど、なんとなく黒いへびのからんだように、気味悪く見られたのであります。

陰気な姉は、少時は妹のことを忘れることができなかった。たとえ気質は異っていても、そして、こうしているところすら、別々であっても、妹のことを忘れることができなかった。それは、快活な妹にとっては、迷惑にこそ思われるが、すこしもありがたくないばかりでなく、できるものなら永久に、姉から別れてしまいたいと思ったこともあります。

「おまえは、まだ年がいかない、いつかは私のいったことがわかるときがある。」と、姉は、かつて妹に向かっていったことがあります。

「姉さん、どうか私を自由にさしてください。私は、姉さんについていられるのが苦しくてなりません。」と、妹がいいました。

すると、姉は、さびしそうな顔をして、沈んで、すきとおるような声でいった。

「いつ、私は、おまえをそんなに束縛をしましたか。おまえは、どこへなりとかってにいくがいい。けれど、おまえはしまいには私のところへ帰ってこなければならない。