轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つばくろ(つばくろ)
燕(つばくろ)
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1960(昭和35)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,395 字 · 52 页
「義歯を入れればよかろう」と梶本が噛んだ物をのみこんで云った、「おれも左右の奥歯は義歯だ、大阪にいい医者がいて、大名などの中にもずいぶん療治に来るよ、半月も滞在すれば済むし、費用もさしたることはない、なんならおれから話しておこう」
「江戸でもそう云われたんだが、どうもこの年になってはね」
「老いこんだことを云うもんじゃない」と渡貫が脇から云った、「これまで公務に縛られて来たんだ、ようやく隠退してこれから余生をたのしむときじゃないか、おれなどはもし女房が死んでくれたら、すぐさま若い側女を置くつもりでいるぞ」
「ああ」又左衛門はゆっくり首を振り、殆んど、聞えないくらいの声で呟いた、「――渡貫がまた」
「渡貫がね」と梶本が又左衛門のあとをつけるように云った。「庄野とはたし合までしてものにした女房を、死んでくれたらなどとよく云えたものだ」
「私とはたし合をしたって」と庄野が訝しげに梶本を見た。
「梶本の思い違いさ」と渡貫が云った、「庄野とはたし合をしたのは新原だ、舟小屋で例のことがあってさ」と彼は庄野に笑いかけた、「それから新原宗兵衛とはたし合になったじゃないか」