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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

「すぐ灯火管制にうつらねばなりませんが、こうだしぬけの警報では、ちょっと時間がかかりますが、いかが?」

「ただちに、電源の主幹を切って、消灯だ!」

船長は電文を見終って、はっきり命令を出した。

「えっ、主幹を切りますか」

「早くやれ!」船長のはらは、すわっていた。

これから消灯または遮光の命令を出して、おおぜいの手で、船内の方々をくらくさせていたのでは、おそくなる。ことに、海を航行している汽船は、空中から、すこぶる見えやすい。船長の考えとしては、船の安全のために一秒でも早く灯火管制をやりとげるためには、こうするのがいいと思ったのである。

命令は、ただちに、発電室に伝えられた。

「電灯用主幹、全部開放!」

あっという一瞬間に、船内の電灯は、全部消えてしまった。どこもかしこも、たちまち、まっくらやみだ。

ただ機関室などの大事なところは、夜光塗料が、かすかに青白く光って、機械の運転に、やっとさしつかえのないようには、なっていた。

食事半ばの、三等食堂などは、文字どおり、暗黒の中にしずんでしまった.

「あっ、どうした。電灯をつけろ」

「停電で、飯がたべられるか」

「電灯料の支払いが、たまっているのだろう。