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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

「え、十五。ほんとうに十五でいらっしゃるの。じゃあ」

といいかけて、夫人は言葉をのみ、しげしげと房枝の顔を穴のあくほどみつめるのであった。

「ああ、奥さま。お履物が、あんなところに」

そのとき、房枝は、夫人の皮草履の片っ方が水たまりのそばに、裏がえしになって、ころがっているのに気がついた。このままにしておいては、また、後から来た車がひいてしまうであろう。そんなことがあっては、ますますお気の毒と思い、いそいで、かけていって、その片っ方の皮草履を手に取り上げた。

「あら、たいへん。鼻緒がこんなに切れていますわ。これじゃ、お歩きになることもできませんわ。あたくしが、今ちょっと間にあわせに、おすげいたしましょう」

「あら、もうどうぞ、おかまいなく」

「いいえ、だって、それでは、お歩きになれませんもの」

と、房枝は、持っていたハンケチをさいて、鼻緒をすげようとしたが、鼻緒をすげるためには穴をあけなければならない。ところが、そこには、錐もなければ火箸もなかった。

「困りましたわねえ。穴をあけるものが、ないので」

「いいえ、もう御心配なく、あたくしがいたしますから」

もしも房枝が、ながく日本の生活になれていて、草履をはきつけていたら、ここではなにも穴をあける道具がなくても、草履の鼻緒を、いちじ間にあわせに別の方法ですげることは出来