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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
大きなからだの外人の男が、房枝をかるがると抱いて、車内にうつした。
車内は、りっぱであった。これはたいへんな高級車だ。座席には、すでに黒川がのっていて頭をうしろにもたせかけていた。よく見ると、黒川の頭は、ハンケチで結わえてあり、その一部には、赤い血がにじみだしていた。
「あっ、黒川さん。けがをしたのね。しっかりしてよ、ねえ黒川さん」
房枝は、黒川をゆりうごかした。
すると黒川は、ちょっと、からだをうごかし、苦しそうに眉をよせたが、
「房枝、早く下りよう」
と、うわごとのようにいった。
「え、下りるの」
房枝が、黒川のことばをあやしんで、といかえしているとき、座席に、例の外人の婦人が入ってきて扉をしめた。それから、大きなからだの男の外人は、運転台にのって、扉をばたんとしめると、エンジンをかけた。
「おい、房枝。早く下してくれ」
「まあ、あなた、興奮してはいけません。しずかになさい」
房枝が、なにかいおうとしたが、その前に婦人がひきとって、黒川をなだめた。
この二人の外人は、だれであろうか。ふしぎともふしぎ、運転台にいるのは、背広姿になってはいるが、雷洋丸にいたときは牧師の服に身をかためていた師父ターネフであった。