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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
しかし房枝の胸は、わくわくして仕方がなかった。
一大事近づく
ターネフ首領邸へ、こっそり帰ってきた房枝とスミ枝は、そっと黒川団長の寝ている部屋へすべりこんだ。
黒川団長は頭部に繃帯をして、苦しそうな寝息をたてて眠っていた。
房枝は、スミ枝に目くばせをすると、手つだってもらって、黒川の胸にかけてあったお守り袋の紐を切り、そっとはずした。
房枝の手は、ぶるぶるとふるえている。やはりスミ枝の手を借りて、お守袋を開き、中からうすよごれた小袋をとりだした。そのとき、房枝は、はっと息をのんだ。
「あ、同じきれよ」
房枝は、メリンスのきれで出来たその小さい袋を、しばらくひっくりかえしていたが、やがて気がついて、その小袋をあけて、中に入っていた神社のお札を出し、それから小袋の裏をひっくりかえして見た。そこには、大きなおどろきが待ちかまえていた。
「ああ、スミ枝ちゃん」
房枝は、おどろきとうれしさとに、あとがいえなくて、ぶるぶるふるえる指先で、その小袋の裏を指すだけであった。
その袋の裏には、赤い糸で「小雪」という字が縫いとってあった。
ああ、小雪! 今こそ、房枝は、自分の本名が小雪であったことをはっきりと悟ったのである。