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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

それを守ってくれるなら、あとでまた、お礼のお金をさしあげます」

ニーナ嬢は、ねっしんに、そして早口で、曾呂利をかきくどいた。

曾呂利は、かすかにうなずいた。

「よろしいですね。わたくし、あなたを信用します。お礼のお金、あとできっとさしあげます。あっ!」

ニーナ嬢は、とつぜん、おどろきのこえをあげた。階段の上に、誰かのわめきごえがきこえたからである。

「約束、きっと、守るのです!」

ニーナ嬢は、最後にもう一度、命令するかのように、曾呂利の耳にのこすと、曾呂利をそこに寝かしたまま、とぶように立ち去ったのであった。

階段の上から、あらあらしい足音とともに、二、三人の船員がおりてきた。

「やっぱり、こっちじゃないかな」

「どうも、こう暗くては、探せやしない」

船員たちは、おりてくると、そこに曾呂利がたおれているのを発見して、おどろいてかけより、

「おう、あなた。ここへ誰か来なかったでしょうか。この階段を、あわてて上からおりてきたものはありませんか」

曾呂利をだき起そうともせずに、いきなり質問だ。

曾呂利は、首をふって、

「誰も、見えませんでしたね。僕は、松葉杖を階段からつきはずして、落ちたんです」