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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
房枝は、船長とドクトルの対話に、気をとられていたが、手をひっぱられたので、その方をみると、それは曾呂利がやったのだ。
「ねえ房枝さん。そこへ船長さんがもってきた花を、私に見せてください」
「まあ、あなたが見て、どうなさるの」といったが、房枝は、テーブルのうえから、花をとって、曾呂利に渡した。
曾呂利は、その花を手にとって自分の鼻に押しあてた。そのとき、彼の目が、急に生々と輝きだした。
「ほう、この花は、非常に煙硝くさい。おや、それに、なめてみると、塩辛いぞ、海水に浸っていたんだ。すると、この花は、船の上にあった花ではない、海の中にあった花だ。これは、ふしぎだ」
曾呂利は、まるでなにか怪物につかれた人のようにぶつぶつと口の中でひとりごとをいった。しかし房枝は、その一言半句も聞きのがさなかった。そして、曾呂利の顔を、穴のあくほど見つめていたが、はっとした面持で、
(この人は、どうしても、帆村荘六という名探偵にちがいないと思うんだけれど。なぜ、曾呂利本馬などと、名をかえているのでしょう)
と、ふしん顔。
そのとき、電話のベルが鳴った。看護婦が出ると、船長に急用だという。