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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

BB火薬

曾呂利本馬は、もう解消して、名探偵帆村荘六は、顕微鏡からはなれた。

彼は、きりりとした顔で、またしばらく、あたりの様子をうかがっていたが、まだ誰も、この医務室に近づく者がないことをたしかめると、後へふりむいて、卓子のうえから、一本の試験管をとった。

なにをするのであろうか?

帆村探偵は、そのガラスでつくった試験管の中へ、BB火薬らしいもので黒くなった花片を、しきりにむしりとって、つめこんだ。

それから、薬品のならんだ棚から、ある薬品の入った壜をとると、栓をぬいて、無色の液体をすこしばかり試験管につぎこんだ。

(こうしておけば、大丈夫、保つだろう――)

彼は、試験管にコルクの栓をした。それから、器用な手つきで、封蝋を火のうえで軟かくすると、コルクの栓のうえを封じた。それで作業は終ったのであった。

それがすむと、こんどは肘かけ椅子のところへもどり、右足の繃帯を、くるくるとときはじめた。

足をはさんでいる板切が、むきだしにあらわれた。

(ここへ入れておけば、安心だ)

彼は、試験管を、板切の間にさしこんだ。それからふたたび繃帯を、元のように、ぐるぐると巻きつけたのであった。