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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

弾は天井へあたるだけです」

「なるほど、これは明らかな証明だ。いや、よくわかりました。この女の方がやったのではないことだけは、はっきりしました」

と、一等運転士は、わるびれもせず、自分の考えのあやまりだったことをわびて、房枝のうたがいをといた。

房枝は、やっと、ほっとした。

「で、あなたは、一体どなたですか」

と、一等運転士は、せきこんで、青年紳士に尋ねた。

「私? 私は、ピストルに狙われた本人ですよ。ミマツ曲馬団で曾呂利本馬と名のっていましたが、実はこういうものなんです」

と、一等運転士に、そっと身分証明書を見せた。

それには、探偵帆村荘六の身分が、はっきりしるされてあったので、一等運転士は、あっとばかりおどろいてしまった。

帆村は誇らず

名探偵帆村荘六は、曾呂利本馬の仮面をとりさって、ここに、すっきりした姿を、雷洋丸上にあらわしたのであった。

一等運転士は、さっそく、このおどろくべきことを報告するために、船長室へもどった。船長はどこへいったかそこには見えなかったので、彼は船橋の方へ船長をさがしにいった。

水夫たちは、なにがなにやら、はっきりわからないが、この青年紳士の、あざやかな腕前にすっかり感心したのであった。