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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
しかし帆村のすすめたように、無電連絡を切れとは命じなかった。船長は、まさか後にのべるような大惨事が起ろうとは思っていなかったので、このときは、万国郵便条約を尊重することばかり忠実であって、帆村のことばには、耳をかたむけなかったのである。
「さあ、話を本筋にもどしましょう。帆村さん、あなたが身分をかくして本船にのりこまれたのは、どういうわけですか。なにもかもいっていただきましょう。われわれも、それにたいして十分の援助をいたします」
と、船長は、切り出した。
「ああ、船長さん。私のことなんか、二の次にしてください。わたくしとしては、べつに、あなたがたから救をもとめるつもりはありません」
帆村は、きっぱりいった。
「でも、あなたはピストルでうたれようとした。あなたを狙っている者が、船中にいるのではありませんか。どうかえんりょをなさらぬように」
「えんりょではありません。わたし自身のことよりも、私は本船の運命を心配しているのです。さっきもいいましたが、はやく附近航行の他の汽船に応援を求められたがいいですぞ。そして直ちに、船内大捜査をはじめるのです。しかし間に合うかどうかわかりません。