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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
トラ十は、ついに船を帆村のところへ持ってきたのである。
「なアんだ、お前は曾呂利本馬じゃねえか」
と、トラ十は、けげんな顔で、船のうえから、帆村を見下ろした。
「そうだ、曾呂利だ。こんなところで、仲間にあおうとは思いがけなかった。おねがいだ。その船にのせてくれよ」
と、帆村は、たのみこんだ。トラ十は、まだ幸いにも、帆村の身分を知らず、ミマツ曲馬団の曾呂利青年と思っているらしい。
「ふん、助けてくれか。そうだな、お前なら、助けないわけにもいくまい。しかし、ことわっとくが、この船じゃ、おれは船長なんだぞ。万事おれさまの命令に従うなら、むかし仲間だったよしみに、ちっとばかりのせてやらあ」
トラ十は、もったいぶっていった。
怪しい紙切
「やあ、ありがとう。トラ十兄い、恩にきるぜ」と、帆村がいえば、
「ふん、お前までが、トラ十トラ十といいやがる。これからは丁野船長とよべ。そういわなきゃ、おれはお前に、船から下りてもらうぜ」
「いや、わるかった。船長、どうか一つたのむ。たすけてくれ」
「ふん、じゃあ、のれ」
トラ十に、いばりかえられながら、帆村探偵は、やっと和船のうえの人となった。