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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

ようやく、食事はだいぶん進んだらしく口をきく客もでてきた。

「目の前? うそをつけ。目の前には、ソースのびんなんかないぞ」

トラ十は、どなりかえしたが、そのとき、おやという表情で、目をみはった。ソースのびんは見えないが、彼の目の前には、うつくしい大きな花籠があった。何というか、色とりどりの花を、一ぱいもりあげてある。どう見ても、三等食堂には、もったいないくらいの、りっぱな花籠だった。

「ほら、ソースのびんは、その花籠のかげに、あるじゃないか」

「なるほど」

と、トラ十は、うめくようにいって、ソースのびんをとったが、彼の目は、なぜか、このりっぱな花籠のうえに、ピンづけになっていた。

警報

この雷洋丸の無電室は、船長以下の幹部がつめかけている船橋よりも、一段上の高いところにあった。

それは、ちょうど午後七時五十分であったが、この無電室の当直中の並河技士は、おどろくべき内容をもった無電が、アンテナに引っかかったのを知って、船橋に通ずる警鈴を押した。

すると、間もなく、扉があいて、一等運転士が、自身で電文をうけとりにとびこんできた。

「警報がはいったって、その電文はどれだ」