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ろうごくのはんにち

牢獄の半日

葉山 嘉樹

「文芸戦線 第一巻五号」1924(大正13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,671 字 · 16 页

青空文庫

――面白い。

私はそこで窓から扉の方へ行って、赤く染った手拭で巻いた足を、食事窓から突き出した。

――手前は看守長だと言うんなら、手前は言った言葉に対して責任を持つだろうな。

――もちろんだ。

――手前は地震が何のことなく無事に終るということが、あらかじめ分ってたと言ったな。

――言ったよ。

――手前は地震学を誰から教わった。鯰からか! それとも発明したのか。

――そんなことは言う必要はないじゃないか。ただ事実が証明してるじゃないか。

――よろしい。あらかじめ無事に収まる地震の分ってる奴等が、慌てて逃げ出す必要があって、生命が危険だと案じる俺達が、密閉されてる必要の、そのわけを聞こうじゃないか。

――誰が遁げ出したんだ。

――手前等、皆だ。

――誰がそれを見た?

――ハハハハ。

私は笑い出した。涙は雨洩のように私の頬を伝い始めた。私は首から上が火の塊になったように感じた。憤怒!

私は傷いた足で、看守長の睾丸を全身の力を罩めて蹴上げた。が、食事窓がそれを妨げた。足は膝から先が飛び上がっただけで、看守のズボンに微に触れただけだった。

――何をする。