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ろうごくのはんにち

牢獄の半日

葉山 嘉樹

「文芸戦線 第一巻五号」1924(大正13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,671 字 · 16 页

青空文庫

――ああ、それから、面会の人が来てますからね。治療が済んだら出て下さい。

僕が黙ったので彼等は去った。

――今日は土曜じゃないか、それにどうして午後面会を許すんだろう。誰が来てるんだろう。二人だけは分ったが、演説をやったのは誰だったろう。それにしても、もう夕食になろうとするのに、何だって今日は面会を許すんだろう。

私は堪らなく待ち遠しくなった。

足は痛みを覚えた。

一舎の方でも盛んに騒いでいる。監獄も始末がつかなくなったんだ。たしかに出さなかったことは監獄の失敗だった。そのために、あんなに騒がれても、どうもよくしないんだ。

やがて医者が来た。

監房の扉を開けた。私は飛び出してやろうかと考えたが止めた。足が工合が悪いんだ。

医者は、私の監房に腰を下した。結えてある手拭を除りながら、

――どうしたんだ。

――傷をしたんだよ。

――そりゃ分ってるさ。だがどうしてやったかと訊いてるんだ。

――君たちが逃げてる間の出来事なんだ。

――逃げた間とは。

――避難したことさ。

――その間にどうしてさ。

――監房が、硝子を俺の足に打っ衝つけたんだよ。

――硝子なんかどうして入れといたんだ。