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ぶっしんいちにょのかがく

物心一如の科学

中谷 宇吉郎

「禪文化 第七号」花園大学禪文化研究会、1957(昭和32)年3月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,786 字 · 20 页

青空文庫

があって、これを物理学の方では、質量といっている。しかしそういう耳新しい言葉を使うと、話が不必要にむつかしくなるので、以下質量のことを、実質ということにする。

物質というのは、この実質のあるものであって、要するに目方のあるものなのである。別の言葉でいえば、天秤で目方として感ずるものが、ものの実質であって、そういう実質をもっているものが、物質なのである。空気でも、水蒸気でも、適当な装置を使うと、ちゃんと天秤でその目方が測れるので、従って物質である。月や太陽、また地球も、天秤にかかる性質のもので、その前提の下に計算した日食や月食、その他の天文学的の計算が、実際の値と精確に合うので、月や太陽も物質と考えられるのである。

以上の話を要約すると、物質には、色や形や硬さとは無関係に、実質と称すべきものがあって、それは天秤に、目方として現われる。別の表現では、目方のあるものが、物質なのである。これは非常にはっきりした定義であって、例えば、幽霊が物質即ちものであるか否かは、幽霊に目方があるか否かで決まる。目方があれば、実在のものであるが、無ければものではない。

ところで、このものの実質、即ち質量については、従来から一つの大切な法則があった。