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ぶつりがくじっけんのきょうじゅについて

物理学実験の教授について

寺田 寅彦

「理学界 第十五巻第十二号」1918(大正7)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,765 字 · 10 页

青空文庫

紙の尺度や竹の尺度などを比較させて見るもよかろうし、また十グラムの分銅二つと二十グラムの分銅一つとを置換して必ずしも同じでない事を示し、精密なる目的には尺度の各分劃、分銅の各個につき補正を要する事や、温度による尺度の補正などの事も、少なくもそういうものがあるくらいは、中学校でも授けておきたいと思う。少なくも精密の度というものは比較的のものである事をよく理解させるが肝要であると思う。

また「大きさ一様なる棒」とか「平面」とか「球面」とかいうものも厳密には実現し得られない事も忘れてならない。長いガラスの円筒の直径をカリパーのようなもので種々の点で測らせ、その結果を適当な尺度に図示して径の不同を目立たせて見るのもよい。これはつまらぬ事件のようであるが、実際自分の経験では存外生徒の実験的趣味を喚起する効果があるようである。あるいは顕微鏡のデッキグラスの厚さを測微計で測らせ、また後に光学の部で再びこれを試験用平面に重ね、単色光で照らして干渉の縞を示すも有益であろう。

液体静力学の実験例えば浮秤で水や固体の比重を測る時でも、毛管現象が如何に多大の影響を有するかという事を見せるために、液面に石鹸の片を触れて比重系の浮上がる様を見せる事なども必要と思う。