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ぶつりてきしゅうだんてきせいかく
物理的集団的性格
中井 正一
「美・批評」1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,301 字 · 13 页
レンズ、真空管、フィルムはそれらの性格の中にあって、あたかも生理作用におけるごとくみずからを適応せしめつつある。
かくてレンズを通してフィルムに入りきたる光も、またレンズを通して発する光も、それみずから集団的構成としての見る意味の発展である。集団の内面の視覚である。レンズの構成の背後に幾千の集団構成、電流の背後の幾多の集団構成、フィルムの背後のそれ、それらのものが光の中にそれみずからの情趣を投げる。それを受くるものはしかしすでに個人ではある。しかしその個人は新しき社会的集団的情趣を通さずには、その与えられたる光を受けとることができない。そこに過去に感情移入として単に個人的投入であったものが、集団的関連の等値性に換算されなければならないゆえんがある。物に対して単なる全体としての自我が働きかけていたのに対して、今は複雑なる構成体の一要素として自我が物に働きかける。もちろんその部署についたままというのではない。部署より遊離されて――その意味で仮象的ではある――その組織の全貌の見透しのもとにその数学的力学的情趣の中に物を把握するのである。
かくて物理的集団的性格は社会的集団的性格と相互に働きあい、それと同時に等値性をもってくる。