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きょうかしあかちょこべえ

狂歌師赤猪口兵衛

夢野 久作

博多名物非人探偵

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,418 字 · 79 页

青空文庫

相わかった、相わかった……しかし話はモトへ戻るが、その蔵元屋の別土蔵の二階の金勘定が真実の金勘定でない、賭博に相違ないという事は何処で見分けたか」

「やっぱり塵箱が物を申しますので……」

「ふうむ。掃溜が物を言う……」

「ヘイ。何処のお邸でも掃溜掃溜と軽蔑して、気安う物を棄てさっしゃりまするが、掃溜ぐらい家の中の秘密を喋舌るものは御座いません。蔵元屋の家でもそげな理由で、前の晩の暮方に覗いた塵箱を翌る朝、今一度覗いてみますると、晦日の晩なぞに蟹の塩茹の喰残しが真白う山盛りになっておる事が間々御座いまする。それが賭博を打った証拠で……」

「フーム。賭博を打つと蟹の塩茹を喰するのが習慣にでもなっておるのか……」

「エヘヘヘヘ。そのような訳では御座いませんが考えても御覧じませ。何にせよ恵比寿講の帳合いと言うたなら、一文二文の間違いにも青筋を立てて算盤を弾き合うような吝垂れた金持連中の寄合の事で御座いますけに仮令、仕事が夜通しがかりになったにしても、出て来るものは漬物にお茶か、せいぜい握飯ぐらいで、それでもペコペコと頭を下げてお礼を言うて帰るのが普通で御座います。