轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きょうげんのかみ
狂言の神
「東陽」1936(昭和11)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,478 字 · 31 页
いまさら、なにも、論戦しなければならぬ必要もなし、すべての言葉がめんどうくさくて、ながいこと二人、庭を眺めてばかりいた。私は形而下的にも四肢を充分にのばして、そうして、今のこの私の豊沃を、いったい、誰に教えてあげようか、保田與重郎氏は涙さえ浮べて、なんどもなんども首肯いて呉れるだろう。保田のそのうしろ姿を思えば、こんどは私が泣きたくなって、
――だんだん小説がむずかしくなって来て困ります。
――そう。……でも。
口ごもって居られた。不服のようであった。ヴィルヘルム・マイスタアは、むずかしく考えて書いた小説ではなかった、と私はわれに優しく言い聞かせ、なるほど、なるほどと了解して、そうして、しずかな、あたたかな思いをした。私は、ふと象戯をしたく思って、どうでしょうと誘ったら、深田久弥も、にこにこ笑いだして、気がるく応じた。日本で一ばん気品が高くて、ゆとりある合戦をしようと思った。はじめは私が勝って、つぎには私が短気を起したものだから、負けた。私のほうが、すこし強いように思われた。深田久弥は、日本に於いては、全くはじめての、「精神の女性」を創った一等の作家である。