轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きつね
狐
岡本 かの子
「文学界」1938(昭和13)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,039 字 · 13 页
――なるべく、その方に頼むよ。
――何を呑気なことを云ってるのだ。さあ早く話を聞こう。(と二見)
――わたくしに夫がございます。狐の夫でございますから、男狐なのでございます。
――ふむ、君の連れ合いのことだから、狐にしてもさぞ美しい若狐だろう。
――わたくしの口から申すも憚られますが、鼻筋凜々しく通り、眼は青みがかった黒い瞳で、口元の締り方に得も云われぬ愛嬌がございます。(女、鈴懸を指し)とんとこちらを狐にしたような男振り。
――二見氏、おれは狐にしたらよい男振りだそうだ。
――気持ちの悪いことをいう。君までが狐が化けてるように見えて来たぞ。早く話を進行さして呉れ。
――それから、女狐さん、どうした。
――三日前の夜の明けないうちでございます。夫はいつも通りわたくしに寝鳥の肌ぬくい締め立てでも銜えて来て、私の朝飯に食べさそうと、目白あたりまであさり廻るうち、鈍くも狐師の七蔵に生捕りにされたのでございます。
聞けば注文するものもあって、夫狐は売り渡されたが最後、生肝をとらるる由なそうにございます。
――それは、さぞ、心痛なことであろう。だがここが肝腎なところだ。一体狐にもそういう場合に、人間と同じように愁嘆があるものか知らん。