轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

「改造 新年号 第十八巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>「改造 七月特大号 第十八巻第七号」1936(昭和11)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 页

青空文庫

なあ、どないや? お前かてその間ぐらい機嫌直して可愛がってやりいな。猫は執念深いよってにな。」

いかにも懸引のない真情らしく、そうしんみりと訴えられてみると、それには反対が出来なかった。

「そしたら一週間だっせ。」

「分ってる。」

「手エ出しなさい。」

「何や?」

と云っている隙に、素早く指切りをさせられてしまった。

「お母さん」

それから二三日過ぎた夕方、福子が銭湯へ出かけた留守に、店番をしていた庄造は奥の間へ声をかけながら這入って来ると、自分だけの小さなお膳で食事している母親の側へ、モジモジしながら中腰にかがんだ。

「お母さん、ちょっと頼みがありまんねん。―――」

毎朝別に炊いている土鍋の御飯の、お粥のように柔かいのがすっかり冷えてしまったのを茶碗に盛って、塩昆布を載せて食べている母親は、お膳の上へ背を円々と蔽いかぶさるようにしていた。

「あのなあ、福子が急にリリー嫌いや云い出してなあ、品子んとこへ遣ってしまえ云いまんね。………」

「このあいだ、えらい騒ぎしてたやないか。」

「お母さん知ってなはったんか。」

「夜中にあんな音さすよって、わてびっくりして、地震か思うたわ。