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ねこりょうり

猫料理

村松 梢風

「あまカラ 10月号 第八十六号」甘辛社、1958(昭和33)年10月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,034 字 · 4 页

青空文庫

私は大声を放って慟哭した。私が泣いたのは長男が死んだ時と、昔愛人が死んだ時と、その次がこの猫が死んだ時と、三回だけである。

母なしになった子猫たちを私の家では飼い出した。数回に生んだ同胞たちだから実際はもっとあったのだが、よそへやったのもあり、死んだのもあって、八匹だけが残った。そこへよそから舞い込んできた奴が二匹あって、現在十匹いるわけである。母猫が生きている時分は、母猫が利口であったから、よく子猫たちを統御して、晩には必ず家へ帰るようにしていたが、親猫が死んでしまうと、とうてい放し飼いでは収拾ができなくなったので、家じゅう網戸にして、一歩も外へ出さないことにし、一番上の姉猫を除いて全員を上手な獣医さんの手で去勢してもらった。

さてこの猫たちの食物だが、最初から、私のところでは飯はやらずに魚だけで育てた。初めのうちはほとんど小アジばかりであったが、段々贅沢になり、今では魚だけでも毎日六、七種になる。鎌倉名物の小アジのナマと塩なしの干物、これは主食のようなものである。ほかに季節によって多少変化はあるが、キス、ヒラメ、カツオ、ナマリ節、マグロのさし身、夏は開きドジョーも焼いてやる。