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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

来て、九キロ(半月分)おいてゆきました。三円八銭也。

昨夜は国、横浜の友達のところに泊ったので、わたしは九時半ごろ床に入り、のんびりしていたらいつか眠りかけ、びっくりして雨戸しめて本当に寝て、今朝起きたのは九時。十分眠りました。そのわけなのよ。きのう、あれから家へついたのが六時すぎでした。御飯がきれていて、それから炊いたから食べたのは八時すぎ。大ペコのペコでね。たべたら眠くなった、という犬ころの如き天真爛漫ぶりです。

きょうは、咲や国のふとんを日に干しに出して、犬ころにサービスして遊びました。茶と黒のコロコロ二匹だったのに、どうしたのでしょうか、黒しかいないのよ、きのうから。一匹のこったというのでしょうか。シートンが大層役に立ってね、その仔犬と近づきになるために、先ず、おっかさん姉さんの揃っているときすっかり指さきや着物の裾なめさせて、匂いよくつけてその仔にさわったら、すっかり安心して(家族一同)至って好成績。きょうは呼ぶと、小指ほどの黒いしっぽをふってかけつけて来ます。わたしは犬がすきね。とりあえず、コロコロと呼びます。ころころなんですもの。

おや、内玄関へ誰か来ました。