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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

一冊ずつを一まとめとしてのプランで。仕事が出来ればおのずと途も拓けると信じます、出版者も近視ばかりでないでしょうし。出版不能が、個々人の事情でなくなって来ているのが、却って面白い点です。人間もおもしろい気があって、どんなに低下したって出ないとなれば、それならと反転して、視点を高めるところもあったりしてね。世田谷区成城町四二三五泉方というのよ。電話はキヌタ、四〇八。豪徳寺から三つ目ぐらい? おうたというのは大畑うたというので、何でも毛利家のどの分家かに八九年いて、老女が辛くて出た女です、縫物もしてくれるから大助り。どうして御亭主もたなかったのかしら。所謂婚期を逸したのかしら。ごく一般的な働きもので、早口のひとよ、丸めの小柄で。

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