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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
『風と共に』第二巻、『結核の本質』という本一緒にお送りいたします、第三巻もどうやら手に入りそうです、二、三とも借りものよ。『結核の本質』は弘文堂の本より更に初歩向きで本としてお役に立とうと思えませんが、著者のものの話しかた従って気質がいくらか御推察になれるだろうと思って。著者については明日お話しいたします。
『時局情報』がそちらへ直接だといいこと。それのために、わたしは顔も見たくないようないやな本屋の店へよります。その本屋は全く本やにあるまじき根性で、その水っぽい薄情ぶりはホトホトです。本を買う、という人間の扱いかたを知らないのよ、豊山中学の子供ばっかり対手にしているせいでしょうか。どうかお願いいたします。
市民文学について、全くそう思います、そして、こまかく見ると、その細目の追加においてさえも、其の限界内での豊富さを十分もち得ないまま、萎縮の一路を辿っているようです。鴎外だの一葉だののありがたがりぶりにそれがよく示されています。
トルストイ、バルザックに連関して「風と共に」のことで、興味ある感想を与えられました、第二巻をよんでいるうちに。でも、それは、あなたもお読みになってから、ね。