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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
出る用が多かったところへ寿が先ず床についてしまって(十六・十七)その上、久々でわたしと十日も暮したので、甘ったれてくっついてはなれないので、十六日に一頁かきかけて、珍しく中断してしまいました。六日、十一日、十四日とお手紙頂いていて、随分たくさんのお返しがたまった次第です。先ず、ブランカのばたくり占星について。
七日のあとに書いた手紙なんかは、典型的ばたくりを反映していて、あれは自分でそれを知らずさし上げたのではなくて、寧ろ、まア御一笑を、というところもあり、仔犬のフコフコもあり、かたがただったのよ。そんな気持がなければ、もっともっと烈婦らしい書きぶりの手紙さし上げたことでしょう。わたしは、家のものたちから余程万能薬と思われているらしくて、わたしの淋しさとか不便とかこわさというものは、全然無視したスパルタ的扱いをうけ、その点ではいや応なしの荒修業です。愚痴をこぼしたってはじまらないから、偉くなって居りますからね。だから、そちらへは、つい、もたれよって、フコフコになるところが少からず、というわけです。だってあなたは、わたしが疲れるとかこわいとか云ったって、少し苦笑して、せいぜい勉強することだね、とおっしゃることは分っていますもの、こうして姉さんやって行けないんなら、田舎へ行って貰うしかないね、なんておっしゃい